不調を訴えない社員ほど、突然限界を迎える
「特に問題はないです」
「体調は大丈夫です」
「今のところ支障はありません」
こうした言葉を繰り返していた社員が、
ある日突然、動けなくなることがあります。
欠勤が続く。
長期休養に入る。
あるいは、何の前触れもなく退職を申し出る。
周囲から見ると、それは「急な出来事」に見えます。
しかし実際には、
突然起きたことではありません。
限界は、静かに近づいている
人は、ある日いきなり限界を迎えるわけではありません。
少しずつ余裕が減り、
少しずつ回復が追いつかなくなり、
それでも日常は続いていきます。
不調を訴えない人ほど、
この変化を表に出しません。
なぜなら、
「まだ大丈夫だと思いたい」
「周囲に迷惑をかけたくない」
そう考えるからです。
真面目な人ほど、限界を自覚しにくい
限界を迎えやすいのは、
決して怠けている人ではありません。
責任感が強く、
与えられた役割を全うしようとする人ほど、
自分の状態を後回しにします。
「このくらいで弱音は吐けない」
「まだ自分がやるべきだ」
そう考えているうちに、
限界が自分の想定を超えてしまいます。
Day13で触れた
「頑張りすぎ社員」の身体は、
まさにこの状態です。
会社が気づくサインは、実は出ている
「何の兆候もなかった」と感じるケースでも、
よく振り返ると、
いくつかの変化が重なっています。
判断が遅くなった。
反応が鈍くなった。
ミスが増えた。
あるいは、
発言が減った。
相談しなくなった。
感情の起伏が見えなくなった。
これらは、
本人からの訴えではありません。
状態として現れていたサイン
です。
「言わない=問題がない」ではない
不調を訴えない社員は、
一見すると安定しているように見えます。
欠勤もしない。
仕事もこなしている。
表面上は問題がない。
しかし、それは
耐えている状態
であることが多い。
耐える力には限界があります。
その限界を超えたとき、
回復する余力は残っていません。
突然の限界が、会社にもたらす影響
一人が突然抜けると、
会社は大きな影響を受けます。
業務が止まる。
引き継ぎが追いつかない。
周囲の負担が一気に増える。
さらに厄介なのは、
「なぜ起きたのか」が分からないまま、
同じ構造が残ってしまうことです。
そうなると、
次は別の誰かが、
同じ道をたどります。
限界は「個人の弱さ」ではない
突然限界を迎えることは、
本人の弱さではありません。
無理を前提とした状態が、
長く続いた結果です。
業務量。
判断の集中。
責任の偏り。
これらが重なったとき、
誰かが限界を迎えるのは、
時間の問題です。
個人の問題として処理すると、
必ず繰り返します。
「突然」を減らすために必要な視点
突然の限界を防ぐために必要なのは、
「気づける人」を増やすことではありません。
必要なのは、
気づかなくても見える構造です。
業務量の偏り。
判断の集中度。
回復できているかどうか。
これらを定点で確認できれば、
「突然」は減らせます。
Day16で触れた
「大丈夫です」という言葉に頼らない、
仕組みがここでも重要になります。
限界を迎える前に、できること
限界を迎える前にできることは、
特別な対策ではありません。
状態を見る。
余白を確認する。
負荷を分散する。
そして、
誰かが無理をしていない前提で、
会社を回さないことです。
それができれば、
突然の離脱は、
確実に減っていきます。
まとめ:静かな人ほど、注意が必要
不調を訴えない社員ほど、
限界は近づいています。
それは、
弱さではなく、
責任感の結果です。
「突然」を偶然にしないためには、
言葉ではなく、
状態を見る必要があります。
次の章(Day18)では、
社員を責めない健康管理が、
なぜ結果的に一番厳しいのかを掘り下げていきます。
