全員を救おうとする社長ほど、会社を疲弊させる
社員を大切にしたい。
誰一人、取り残したくない。
そう考える社長は少なくありません。
むしろ、真面目で責任感が強い社長ほど、
「全員を救う」という言葉に引き寄せられます。
しかし、現場を見続けていると、
ある矛盾した現象に出会います。
全員を救おうとしている会社ほど、
組織全体が疲弊していく
という現実です。
善意から始まる過剰な介入
調子を崩している社員がいると、
社長は気になります。
仕事を減らす。
役割を軽くする。
周囲にカバーさせる。
その判断自体は、
間違っていません。
問題は、
それが一時的な対応ではなく、
恒常的な状態になったときです。
「誰かを守るために、
誰かが無理をする構造」
が、静かに固定化されていきます。
救われる側は、増えていく
一人を救ったつもりが、
次にもう一人。
あの人も大変そうだから。
この人も事情があるから。
そうして気づくと、
「配慮が必要な人」は
どんどん増えていきます。
結果として、
負荷を引き受ける側は
いつも同じ顔ぶれになります。
真面目で、
責任感があり、
声を上げない人たち
です。
救おうとするほど、基準が壊れる
全員を救おうとすると、
判断基準が揺らぎます。
あの人は特別だから。
今回は仕方ないから。
今だけ目をつぶろう。
一つひとつは理解できます。
しかし、
基準が揺らぐと、
現場は混乱します。
何が許されて、
何が許されないのか
が、分からなくなるからです。
「優しい会社」の裏側で起きていること
外から見ると、
その会社は優しく見えます。
人を切らない。
無理をさせない。
柔軟に対応する。
しかし内側では、
別の感情が育っています。
「頑張っている人ほど、損をする」
「我慢した者負け」
こうした感覚が広がると、
組織のエネルギーは急速に落ちます。
救えない現実から目を逸らしていないか
すべての人を救うことは、
現実的には不可能です。
役割が合わない人。
負荷に耐えられない人。
組織のスピードと合わない人。
それでも無理に救おうとすると、
組織全体が歪みます。
救えない現実を
直視しないことが、
最大の負担になる
ケースもあります。
本当に守るべきは「組織の持続性」
社長が守るべきものは、
個々の感情だけではありません。
会社が続くこと。
役割が回ること。
判断が滞らないこと。
組織として機能し続ける状態
を守る必要があります。
それが結果的に、
多くの人を守ることにつながります。
救うことと、手放すことは対立しない
救うか、手放すか。
この二択で考えると、
社長は苦しくなります。
しかし実際には、
手放すことが
救いになる場合もあります。
役割を変える。
環境を変える。
別の場所を選んでもらう。
それは、
見捨てることではありません。
社長が一人で背負いすぎていないか
全員を救おうとする社長ほど、
判断を一人で抱え込みがちです。
誰にも相談できない。
決断を先延ばしにする。
その結果、
社長自身が消耗していきます。
社長が疲弊すれば、
組織はさらに不安定になる
悪循環です。
まとめ:全員を救わなくていい
全員を救おうとすることは、
一見すると理想的です。
しかし、
その善意が組織を疲弊させることもあります。
本当に必要なのは、
全員を救うことではありません。
組織が持続する判断を、
適切なタイミングで行うこと
それができる社長こそ、
結果的に多くの人を守ります。
次の章(Day26)では、
社長が背負いすぎることで
社員が考えなくなる構造を掘り下げていきます。
