年に一度の健康診断。
結果を見て、社長はこう思うことがあります。

「異常なしなら問題ない」
「少なくとも、仕事には影響ないだろう」

この感覚は、多くの職場で共有されています。
健診は「健康の確認」であり、
安心材料として扱われることがほとんどだからです。

しかし実際の現場では、
健診で異常がなくても、生産性が落ちていくケースが少なくありません。


健診が見ているのは「病気」だけ

まず整理しておきたいのは、
健康診断の役割です。

健診が主に見ているのは、

  • 病気があるかどうか
  • 治療が必要な状態かどうか

つまり、
「働けないレベルかどうか」を判断する検査です。

一方で、職場で問題になるのは、

  • 集中力が続かない
  • 判断が遅れる
  • ミスが増える
  • 回復に時間がかかる

こうした「病気未満の不調」です。


「異常なし」と「万全」はまったく別

健診結果の「異常なし」は、
最高の状態を意味するわけではありません。

それはあくまで、
基準値の範囲内に収まっているというだけです。

例えば、

  • 睡眠の質が落ちている
  • 疲労が抜けにくくなっている
  • ストレスが慢性的にかかっている

これらは多くの場合、
健診の数値には表れません。

しかし、
仕事のパフォーマンスには確実に影響します。


生産性は「数字に出る前」に落ちていく

生産性の低下は、
売上や残業時間にすぐ反映されるとは限りません。

むしろ最初に起きるのは、

  • 判断に時間がかかる
  • 確認が増える
  • ミスを恐れて動きが鈍くなる

こうした小さな変化です。

社長の目には、
「忙しそう」「慎重になった」程度にしか映らない。

しかしこの段階で、
現場のスピードと質は確実に落ちています。


なぜ健診では、この変化を拾えないのか

理由はシンプルです。

健診は、

  • 静止した数値
  • 一時点のデータ

を見ています。

一方、仕事のパフォーマンスは、

  • 日々の疲労の蓄積
  • 回復のスピード
  • ストレスへの耐性

といった「変化の連続」の上に成り立っています。

ここに、
健診と生産性のズレが生まれます。


「健診は問題ない」という安心が、判断を遅らせる

厄介なのは、
健診結果が安心材料として使われてしまうことです。

  • 「数字は問題ない」
  • 「病気じゃない」
  • 「本人の気のせいだろう」

こうして、
現場で起きている変化への対応が後回しになります。

結果として、

  • 欠勤が増える
  • 離職が起きる
  • パフォーマンス低下が常態化する

これは、
健康の問題ではなく、経営判断の問題です。


社長が見るべきなのは「異常」ではなく「変化」

ここまでの話をまとめると、
社長が見るべきなのは、


「異常があるかどうか」ではなく、
「以前と比べてどう変わったか」

です。

健診結果は、
あくまで入口にすぎません。

本当に重要なのは、

  • 疲れやすくなっていないか
  • 回復に時間がかかっていないか
  • 仕事の質やスピードが落ちていないか

こうした変化を、
構造として捉える視点です。


まとめ:健診は「免罪符」ではない

健診で異常がないことは、
悪いことではありません。

しかしそれは、
何も問題が起きないという保証ではない

健診で拾えない変化が、
静かに生産性を削っていく。

次回(Day6)は、
「なんとなく元気がない職場」が一番危ない
という、空気と生産性の話をします。