頑張っている社長ほど、異変に気づきにくい理由
毎日、会社のことを考えている。
現場の状況も把握しているつもりだ。
問題が起きれば、すぐに動いている。
そう自負している社長ほど、
「うちは大丈夫だ」と感じていることがあります。
実際、何も問題が起きていないように見える。
売上も大きく落ちていない。
致命的なトラブルも起きていない。
だからこそ、異変は見えにくくなります。
頑張っている社長ほど、
会社の変化に気づきにくくなる。
「見ている」と「見えている」は違う
社長は、現場を見ています。
数字も、会話も、空気も。
それでも見落とされてしまうものがあります。
それは、
ゆっくりと進む変化です。
毎日現場にいると、
昨日との差はほとんど感じられません。
少しずつ増える疲労。
少しずつ減る余白。
少しずつ遅くなる判断。
これらは一日単位では気づけないため、
「変わっていない」と錯覚してしまいます。
頑張りは、違和感を打ち消す
社長自身が忙しく動いていると、
自分の頑張りが基準になります。
「自分もこれくらいやっている」
「まだ回っている」
そう思えるうちは、
小さな違和感は後回しにされます。
社員の反応が鈍くなっても、
判断が少し遅れても、
「今は忙しいから」と理由がつきます。
頑張りは、
違和感を感じる感度を下げてしまうのです。
問題は「起きてから」では遅い
多くの社長は、
問題が起きた瞬間に、きちんと対応します。
クレームが出れば動く。
数字が落ちれば手を打つ。
人が辞めれば理由を考える。
これは間違っていません。
ただし、
問題が「見える形」になった時点で、
会社の中ではすでに時間が経っています。
Day6で触れた
「なんとなく元気がない」という空気。
Day7の
「ミスが増える」という兆し。
それらはすべて、
問題が起きる前のサインでした。
社長が一番、安心してしまう瞬間
異変に気づきにくくなるのは、
社長が油断しているからではありません。
むしろ逆です。
一生懸命やっているからこそ、
「自分が見ているから大丈夫」と思ってしまう。
この安心感が、
変化に気づくアンテナを鈍らせます。
結果として、
異変は社長の視界の外で進んでいきます。
異変は、声ではなく「状態」に出る
社員は、
必ずしも異変を言葉にしてくれるわけではありません。
不満を言わない。
弱音を吐かない。
相談もしてこない。
それは、問題がないからではなく、
言わなくなっただけのこともあります。
異変は、
会話の量や表情ではなく、
状態として現れます。
集中力の低下。
判断の遅れ。
余白の消失。
これらは、
意識しないと見えません。
「頑張り続ける社長」は、会社のセンサーになれない
会社の変化に気づくためには、
少し距離を取る必要があります。
ずっと動き続けていると、
周囲の変化よりも、
自分のタスクで視界が埋まります。
それは責任感の結果ですが、
同時に、センサーとしては機能しにくい状態です。
Day10で触れた
「社長が現場に出続ける構造」は、
ここでも影響します。
動き続けることで、
気づけない変化が増えていきます。
異変に気づくために必要なのは、仕組み
異変に気づくために必要なのは、
社長の注意力ではありません。
必要なのは、
気づかなくても拾える仕組みです。
数字。
定点観測。
状態の可視化。
人の感覚に頼らず、
変化が自然と浮かび上がる形を作る。
それができれば、
社長が頑張っていても、
会社の異変は見逃されにくくなります。
まとめ:善意が盲点になる前に
頑張っている社長ほど、
会社を守ろうとしています。
だからこそ、
見えなくなるものがあります。
善意や努力を否定する必要はありません。
ただ、それだけに頼らないこと。
異変は、
気づける人がいるかどうかではなく、
気づける構造があるかどうかで決まります。
次の章(Day13)では、
エコーで見えた「頑張りすぎ社員」の身体について掘り下げていきます。
