健康経営を制度から始める会社が失敗する理由
健康経営に取り組もうとしたとき、
多くの会社が最初に考えるのは「制度」です。
健康診断の拡充。
ストレスチェックの導入。
福利厚生としての健康施策。
どれも間違いではありません。
むしろ、必要な取り組みです。
それでも、
制度から始めた健康経営が
うまく機能しない会社は少なくありません。
理由はシンプルです。
制度は「使われて初めて意味を持つ」からです。
制度は「やっている感」を生む
制度を整えると、
会社には一定の安心感が生まれます。
健康診断を実施している。
ストレスチェックも毎年行っている。
必要な仕組みは揃っている。
すると、
こんな空気が生まれやすくなります。
「制度はあるのだから、問題はないはずだ」
この安心感が、
現場を見る目を鈍らせます。
Day16〜18で見てきた
沈黙や限界のサインは、
多くの場合、制度の外側で起きているからです。
制度は「判断」までやってくれない
多くの健康施策は、
導入すること自体がゴールになりがちです。
制度を作る。
外部サービスを契約する。
年に一度、実施する。
しかし、
その結果をどう使うのか。
誰が判断し、
どこに反映させるのか。
そこまで設計されていないケースは、
決して少なくありません。
制度は、判断を代わってはくれません。
最終的に必要なのは、
人と組織の判断です。
「数値が正常」でも、現場は崩れる
健康診断やストレスチェックの結果が
すべて基準内。
それを見ると、
ひとまず安心したくなります。
しかしDay15で触れたように、
判断力や集中力の低下は、
必ずしも数値には表れません。
数値は正常。
それでも、
ミスは増えている。
判断は遅れている。
こうしたズレは、
制度だけでは拾えません。
制度は「異常」を拾うもの。
組織は「変化」を拾うもの。
役割が違います。
制度先行の会社で起きやすいこと
制度が先に走ると、
現場では次のようなことが起きます。
- 結果を見ても、次の行動が決まらない
- 「一応やった」で終わる
- 現場の実感と制度が乖離する
すると社員は、
制度を「自分ごと」として捉えなくなります。
チェックは受ける。
アンケートには答える。
ただし、
本音は出てこない。
これはDay16で触れた
「大丈夫です」と
まったく同じ構造です。
健康経営の本体は、制度ではない
健康経営の本体は、
制度そのものではありません。
日常の中で、
変化に気づけるか。
違和感を拾えるか。
そして、
それをどう扱うか。
健康経営とは、
判断の質を高める取り組み
です。
制度は、
そのための道具にすぎません。
制度は「後から」でも遅くない
誤解しないでほしいのは、
制度が不要だと言っているわけではない、
ということです。
問題は、
順番です。
先に必要なのは、
現場を見る視点。
状態を捉える習慣。
早めに介入する覚悟。
それがあって初めて、
制度は生きます。
逆に言えば、
この土台がなければ、
どんな制度も形骸化します。
制度が機能する会社の共通点
制度がうまく機能している会社には、
いくつかの共通点があります。
- 数値だけで判断しない
- 結果を「会話の材料」にする
- 異変があれば、先に動く
制度は、
現場の対話を助ける存在として
使われています。
主役は、
あくまで人です。
まとめ:制度はスタートではない
健康経営を制度から始めると、
失敗しやすくなります。
それは、
制度が悪いからではありません。
制度は、
「判断の代わり」にはならないからです。
次の章(Day20)では、
福利厚生を増やしても
職場が良くならない理由を掘り下げていきます。
