「健康管理は個人の責任」「うちは大企業じゃないから健康経営までは…」

そう思っている企業ほど、実は人・コスト・成果のどれかで損をしている可能性が高くなります。

なぜなら、

  • 睡眠不足
  • 不調の放置
  • メンタル不調
  • 慢性的な疲労

といった状態は、すべて仕事の生産性に直結するからです。

健康経営は「社員に優しくしてあげる福利厚生」ではなく、
会社の利益と直結する経営戦略へと変わっています。


① なぜいま、健康経営が求められているのか?

1)人手不足の時代

採用が難しく、育った人材に辞められるとダメージが大きい時代です。
「辞められたら困る」ではなく、辞めずに働き続けられる環境をつくれるかどうかが、企業の競争力になります。

2)医療費と“生産性ロス”が見えにくく増えている

休むほどではないけれど、なんとなく不調のまま働いている状態。
これはプレゼンティズム(出勤しているのにパフォーマンスが落ちている状態)と呼ばれます。

ある調査では、欠勤コストの約3倍がプレゼンティズムによる損失とも言われています。
「ちゃんと来ているから大丈夫」ではなく、「どのコンディションで働いているか」を見る必要があります。

3)“良い会社”の基準が変わった

給与やブランドだけで人が集まる時代は終わり、

  • 自分の健康を大事にできるか
  • 無理をさせられないか
  • 長く働ける環境があるか

といった軸で会社を選ぶ人が増えています。
「社員の健康を守る会社かどうか」は、採用・定着に直結するポイントになっています。


② 健康施策がうまくいかない会社の共通点

「健康経営を始めたけれど、正直あまり変化を感じない」という声も少なくありません。
そうした企業には、いくつかの共通点があります。

1)健康を“本人任せ”にしている

健康情報のチラシを配る、健康セミナーを単発で行う——。
どれも悪くはありませんが、「あとは各自意識してください」というスタンスだと行動は変わりません。

2)データがなく、改善点が分からない

「なんとなく不調が多い」「疲れている社員が増えた気がする」といった感覚だけでは、
どこから手を付けるべきか判断できません。

データがなければ、

  • 本当に困っているのは誰か
  • どの施策が効いているのか
  • 何をやめて、何を続けるべきか

が見えてこないため、施策が続かずフェードアウトしてしまいます。

3)継続させる“仕組み”がない

どんなに良い施策でも、一回きりでは定着しません。
大切なのは、「頑張った人だけが続ける」のではなく、
「自然と続けられる状態をつくること」です。


③ 健康経営の成功企業がやっていること

健康経営が定着している企業には、共通点があります。
それは、健康を「見える化 × 仕組み化 × 継続」で動かしていることです。

1)健康状態の“見える化”

「見えない不調」は、本人も会社も気づけません。
だからこそ、まずは現状を知るための“入口”が必要です。

たとえば、次のようなデータが使えます。

  • 健康診断の結果(血圧・血糖・脂質など)
  • 簡易アンケート(睡眠・疲労感・胃腸の状態など)
  • 超音波(エコー)による内臓脂肪や血管の状態
  • ストレスの自己評価
  • 生活習慣スコア(運動・飲酒・喫煙・睡眠など)

特に超音波(エコー)で内臓リスクを“画像で見える化”すると、
「自覚がなかったリスク」を本人が実感しやすく、行動変容のきっかけとして非常に有効です。

2)行動変容の“仕組み”をつくる

行動は、「気合」ではなく「仕組み」でしか変わりません。

成功している企業は、次のような仕掛けを用意しています。

  • 月1回の簡単なセルフチェックや面談
  • 1日1分でできるストレッチや“ちょい歩き”の推奨
  • 「睡眠」「腸」「ストレス」などテーマを絞ったミニ企画
  • 健康アクションを見える化するシートやアプリ

ポイントは、「頑張らなくても続けられるレベルに落とし込む」ことです。

3)職場環境とマネジメントもセットで整える

健康は、個人の問題でありながら、同時に「職場全体の構造の問題」でもあります。

  • 過度な残業が常態化していないか
  • 休憩が取りにくい雰囲気になっていないか
  • 睡眠時間を削る前提の働き方になっていないか
  • 不調を相談しやすい空気があるか

こうした環境が整っていないと、どんなに健康施策をしても効果が出にくくなります。


④ 中小企業が“最小コストで最大効果”を出す3つのポイント

「予算も人も限られている」という中小企業でも、
ポイントを絞れば無理なく健康経営に踏み出すことができます。

ポイント1:社員の状態を“データ”で把握する入口をつくる

まずは、現状を知るところから始めましょう。

  • 簡単な健康アンケート
  • 睡眠・疲れやすさ・胃腸の状態の自己評価
  • 希望者への超音波(エコー)による健康観察

いきなりすべてをやる必要はありません。
「まずは一部の部署から」など、小さく始めるのも立派な一歩です。

ポイント2:小さくても“続く仕組み”を導入する

大事なのは、派手な施策よりも“続けられる施策”です。

  • 週1回の「健康ワンポイント」配信
  • 1人1つだけ「今月やる健康アクション」を決める
  • 月1回の簡易チェックとフィードバック

続ける仕組みがあると、社員も「会社が本気で取り組んでいる」と感じやすくなります。

ポイント3:会社としての健康方針を明確にする

「どこまで会社が健康をサポートするのか」を、きちんと言葉にして伝えることも重要です。

たとえば、

  • 「睡眠を削る働き方は推奨しない」
  • 「長時間労働を是正する」
  • 「年1回以上の健康チェックと相談機会を用意する」

といった方針を打ち出すだけでも、社員の安心感は大きく変わります。


⑤ 健康経営は“社員のため”だけではない

健康経営というと、どうしても「社員のための優しい取り組み」というイメージになりがちです。
しかし、経営の視点で見ると、最大のメリットは次のとおりです。

  • 生産性の向上(集中力・判断力・ミスの減少)
  • 離職率の低下(不調による退職や休職の予防)
  • 採用力の向上(「ここで働きたい」と思ってもらえる要素)
  • 企業イメージの向上(取引先・地域からの信頼)

つまり、健康投資 = 会社の競争力を高める投資でもあります。


まとめ:健康は会社の“競争力”になる時代

社員の健康を整えるということは、
会社のパフォーマンスを底上げするということでもあります。

  • 不調を減らす
  • ミスや低パフォーマンスを防ぐ
  • 社員が辞めにくくなる
  • 採用で選ばれやすくなる

これらはすべて、健康経営と深くつながっています。

健康経営は、もはや特別な一部の企業だけの取り組みではありません。
「やらない理由がない」時代の経営戦略と言えます。

まずは、社員の状態を知る小さな一歩から。
自社の実情に合った形で、健康経営を始めてみませんか。