健康診断で「便潜血陽性」と言われると、不安に感じる方も多いかもしれません。
ですが、陽性=がんという意味ではありません。まず知ってほしいのは、「便潜血陽性は、精密検査が必要というサイン」だということです。
この記事では、便潜血検査の意味、大腸がんとの関係、大腸カメラの重要性について、医療者として分かりやすく解説します。
① 便潜血陽性とは?
便潜血とは、便の中に目に見えないほどの少量の血液が混ざっている状態を指します。
肉眼では分からず、検査によって初めて分かります。
ただし、血液が混ざる理由にはいろいろあり、必ずしも大腸がんを示すわけではありません。
- 痔(もっとも多い)
- 大腸ポリープ
- 大腸がん
- 腸の炎症(潰瘍性大腸炎など)
- 一時的な腸粘膜の荒れ
とはいえ、ポリープの一部は時間とともに大腸がんへ進行することがあり、陽性結果を放置するのは非常に危険です。
② なぜ便潜血陽性=大腸カメラが必要なの?
便潜血検査は「一次スクリーニング」であり、
陽性だった場合の本番の検査は大腸カメラ(大腸内視鏡)です。
● ポリープの出血を拾いやすい
ポリープは表面が脆く、わずかな刺激で出血することがあります。
そのため、便潜血検査はポリープ発見の手がかりになります。
● 大腸がんの早期発見につながる
大腸がんは、早期であれば90%以上が治癒可能とされています。
便潜血陽性の段階で検査すれば、早期発見・早期治療が十分に期待できます。
● 「陰性=問題なし」ではない理由
便潜血は出血がなければ陽性になりません。
出血の少ないポリープは陰性で見逃される場合があります。
陽性が出た時点で精密検査は必ず行うべきです。
③ 大腸カメラは痛い?どんな流れ?
最近の大腸カメラは、
- 細いスコープ
- 鎮静剤(眠る薬)を併用
- 挿入技術の向上
によって、以前よりもかなり楽に受けられるようになっています。
さらに大きなメリットとして、10mm程度までのポリープであれば、その場で切除が可能です。
検査と治療を同時に行えるため、後日改めて手術を受ける必要がないケースも多くあります。
【検査の流れ】
- 事前診察(必要に応じて血液検査)
- 前日の食事制限
- 当日朝に腸をきれいにする下剤を飲む
- 検査室でスコープ挿入(10〜20分)
- 終了後に15分から30分程度の安静(回復室)
なお、検査に鎮静剤(眠る薬)を使用した場合は、
検査当日の車・バイク・自転車などの運転は禁止となります。
帰宅は公共交通機関か、ご家族の送迎を利用するようにしましょう。
④ 大腸カメラを受けるべきタイミング
次のような場合は、迷わず大腸カメラを受けた方が良いとされています。
- 便潜血陽性(最優先)
- 40歳以上で一度も大腸検査を受けていない
- 家族に大腸がんの人がいる
- 便秘と下痢を繰り返す
- 体重減少・貧血などの気になる症状がある
大腸がんは40代以降から増え始めます。
便潜血陽性が出た段階で検査しておくと、安心感も大きくなります。
⑤ 放置はNG。早期発見が“命を守る”
大腸がんは、日本人に非常に多いがんのひとつです。
しかし、
- 早期発見ならほぼ完治が可能
- 大腸カメラでその場で治療できる段階で見つかる
という特徴があります。
便潜血陽性は、あなたの身体が送っている「見逃さないでほしいサイン」です。
不安を放置せず、早めに専門医を受診しましょう。
まとめ
便潜血陽性は、大腸がんや大腸ポリープの可能性を示す重要なサインです。
大腸カメラは安全性が高く、痛みも少なく、10mm程度のポリープならその場で治療もできる優れた検査です。
「陽性だけど忙しいから」「痔だから大丈夫」と放置せず、
少しでも不安があれば、早めに検査を受けることが大切です。
早期発見・早期治療が、大腸がん予防の最も効果的な方法です。
