社長が「見ないこと」を決めている問題

忙しくて見られない。
余裕がなくて後回しになっている。

多くの社長は、
そう説明します。

確かに、
社長の仕事は多岐にわたります。

ただ、職場の問題が
長く放置されている会社をよく見ると、
別の側面が浮かび上がります。


それは、
「見られない」のではなく、
「見ないことを選んでいる」可能性です。


見ないほうが楽な問題がある

職場には、
見れば必ず判断が必要になる問題があります。

業務量の偏り。
特定の人への依存。
無理が常態化している現場。

それに気づいてしまうと、
何かを変えなければならなくなります。

人を減らす。
仕事を止める。
役割を組み替える。

どれも、
簡単な判断ではありません。

だからこそ、
人は無意識に距離を取ります。


「見ない」は、判断を先送りする技術

問題に触れなければ、
判断は不要です。

決断しなければ、
誰も不満を言いません。

短期的には、
何事も起きていないように見えます。


「見ない」という選択は、
一時的に経営を楽にします。

しかしその代償は、
時間差で必ず現れます。


見ない問題ほど、現場に負荷が溜まる

社長が見ていない問題は、
消えてはいません。

ただ、
現場に押し付けられています。

判断がない分、
誰かが無理をして埋める。

その「誰か」は、
たいてい真面目で、
責任感の強い社員です。

Day17で触れた
「突然の限界」は、
ここから生まれます。


「忙しい」は理由にならない

社長が忙しいのは、
当然です。

ただし、
忙しさを理由に
見ない選択を続けると、
問題は積み上がります。

業務は回っているように見える。
数字も一見、問題ない。

それでも、
人は疲弊していく。


数字が崩れたときには、
すでに手遅れになっている

そんなケースも少なくありません。


見ないことは、責任を放棄することではない

ここで誤解してほしくないのは、
「見ない=無責任」と
言いたいわけではない、ということです。

むしろ逆です。

多くの社長は、
責任感が強いからこそ、
判断の重さを知っています。

だから、
簡単に触れられない。


見ないのは、
逃げではなく、
怖さの表れであることも多い


それでも、社長にしかできない仕事がある

どんなに仕組みを整えても、
どんなに制度を導入しても、

最後に
「見るか、見ないか」を決められるのは、
社長だけです。

業務の歪み。
無理が集中している場所。
沈黙が増えている現場。

それらを

見ると決めること自体が、
経営判断

です。


見ると決めた瞬間、動き出すもの

不思議なことに、
社長が「見る」と決めると、
状況は少しずつ動き出します。

問題がすぐに解決するわけではありません。

ただ、
隠れていた負荷が言語化され、
調整が可能になります。


見える化は、
解決のスタートライン

です。


まとめ:見ないことも、選択である

社長が見ないことを決めている問題は、
どの会社にもあります。

それ自体が、
悪いわけではありません。

ただ、
それが「無意識の選択」になっているとき、
組織は静かに弱っていきます。

次の章(Day22)では、
ルールを増やすほど
責任が曖昧になる理由を掘り下げていきます。