社員が1日休んだとき、
社長はこう考えることが多いのではないでしょうか。

「まあ1日くらい仕方ない」
「有給だし、直接の損失はない」

その感覚は、決して間違いではありません。
給与だけを見れば、確かに大きな数字ではないからです。

しかし実際には、
欠勤1人分の影響は、給与計算で終わりません。

しかもその多くは、
決算書にも、損益計算書にも表れないのです。


社長が見ているのは「表に出るコスト」だけ

多くの社長が思い浮かべる欠勤コストは、
おおよそ次のようなものです。

  • 1日分の給与
  • 必要に応じた残業代

これは間違いではありません。
ただし、欠勤コストのほんの一部です。

なぜなら、欠勤による本当の影響は、
「現場の中」で静かに広がっていくからです。

数字に出ないものほど、
経営者は見落としやすくなります。


欠勤1人で、現場では何が起きているのか

社員が1人欠けた瞬間、
社長の目が届かないところで、現場は調整を始めます。

それは大きな混乱ではありません。
むしろ、とても静かな調整です。

  • 業務の割り振りを組み直す
  • 管理者がフォローに回る
  • 残った社員が少しずつ負荷を背負う
  • 確認や判断が後ろ倒しになる
  • 小さなミスや手戻りが増える

一つひとつは小さく見えます。
しかしこれらは、確実に生産性を削っています。

しかも厄介なのは、
「誰かが悪いわけではない」ことです。


数字にすると、欠勤コストはこう膨らむ

ここで、具体的なイメージを持ってみましょう。

  • 社員1人あたりの人件費:日給2万円
  • その社員が担っていた業務量:1日分

この社員が欠勤すると、
仕事は消えるわけではありません。

誰かが引き受け、
誰かが調整し、
誰かが無理をします。

結果として、

  • 残業が発生する
  • 管理者の時間が削られる
  • 全体の集中力が落ちる

こうした影響を含めると、
実質3〜4万円分の生産性が失われることは珍しくありません。

これが、
月に数回、当たり前のように起きているとしたら。

社長が思っている以上に、
会社の体力は削られていきます。


本当に怖いのは「欠勤が前提になること」

欠勤そのものが、すぐに問題になるわけではありません。

一番怖いのは、
欠勤が「想定内」になることです。

  • 誰かが休む前提で仕事を組む
  • フォロー役が固定化する
  • 無理をする人が決まってくる

この状態が続くと、会社は次の段階に入ります。

「欠勤しても回る会社」
から
「回している人が疲弊する会社」へ。

ここまで来ると、
気合や根性では戻れません。


欠勤は「健康問題」ではなく「経営問題」

欠勤を、
個人の体調管理の問題として扱っている限り、
会社の構造は変わりません。

見るべきなのは、

  • なぜ回復しにくいのか
  • なぜ無理が溜まりやすいのか
  • なぜ特定の人に負荷が集中するのか

つまり、
個人ではなく「仕組み」です。

欠勤は、
会社の仕組みが出しているサインでもあります。


社長が今日から持つべき、たった一つの視点

制度を変える前に、
まずは一つだけ問いを持ってください。


「この欠勤1日は、
会社に何を起こしているだろうか?」

給与だけで終わっているなら、影響は小さい。
しかし、現場がざわついているなら、
すでにコストは膨らんでいます。


まとめ:欠勤は「削るもの」ではなく「起きにくくするもの」

欠勤は、責める対象ではありません。
起きにくくする対象です。

そのためには、
欠勤を「我慢」や「自己管理」の話にせず、
経営の数字として捉える視点が欠かせません。

次回(Day5)は、
「健診で異常なしでも、生産性は落ちていく」
という、多くの社長が誤解しているテーマを扱います。